BtoB企業向けWixテンプレートを調査|製造業・建設業・ITで使える構成は?
更新日:8月31日

Wixには業種別のテンプレートが用意されていますが、BtoB企業が選ぶ場合は、見た目の印象だけで決めると必要な情報が抜けることがあります。
企業間取引では、担当者がサイトを見たあとに社内で比較・説明する場面も多く、サービス内容だけでなく、実績、対応範囲、会社情報、問い合わせ方法まで確認されます。
経済産業省が2025年8月26日に公表した調査では、2024年の国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円でした。これはホームページ経由の問い合わせ件数を示す数字ではありませんが、企業間取引でもデジタル上の情報整備が重要になっている背景は読み取れます。
そこで今回は、Wix公式の産業、建築・建設、IT企業向けテンプレートを同じ基準で確認し、BtoBサイトに必要な構成がどこまで揃っているかを調べました。
調査対象と集計方法
調査日は2026年8月29日です。Wix公式の日本語版テンプレート一覧から、産業5件、建築・建設5件、IT企業5件の合計15件を選びました。カテゴリ間で同じテンプレートが表示された場合は重複を除いています。
各テンプレートのトップページと主要ナビを確認し、サービス紹介、実績・プロジェクト、問い合わせ、会社・信頼情報、数字での裏付け、お客様の声、ブログ・ニュース、採用、FAQ、料金の項目が見つかるかを集計しました。
なお、Wix公式には日本の製造業だけを対象とした独立カテゴリが見当たらないため、本記事では「産業」カテゴリを製造業周辺の参考枠として扱っています。産業カテゴリには建設、土木、アグリテックなども含まれるため、製造業全体の傾向を示す統計ではありません。
また、項目があるかどうかを数えたもので、文章の質、検索順位、問い合わせ率を評価したものではありません。テンプレートの掲載内容は追加・変更される可能性があります。
15件を比較すると、問い合わせ導線は多いが証拠情報は少ない
確認項目 | 産業 5件 | 建築・建設 5件 | IT企業 5件 | 合計 15件 |
|---|---|---|---|---|
サービス紹介 | 5 | 3 | 3 | 11 |
実績・プロジェクト | 4 | 5 | 1 | 10 |
問い合わせ導線 | 5 | 5 | 4 | 14 |
会社・信頼情報 | 3 | 5 | 1 | 9 |
数字での裏付け | 1 | 2 | 1 | 4 |
お客様の声 | 2 | 2 | 0 | 4 |
ブログ・ニュース | 1 | 0 | 4 | 5 |
採用導線 | 1 | 0 | 3 | 4 |
FAQ | 0 | 0 | 0 | 0 |
料金 | 0 | 0 | 0 | 0 |
もっとも多かったのは問い合わせ導線で、15件中14件に確認できました。サービス紹介も11件、実績・プロジェクトも10件あり、企業サイトの基本的な入口は比較的整っています。
一方、数字での裏付けとお客様の声は各4件にとどまりました。BtoBサイトで担当者が比較検討する際には、導入件数、対応社数、創業年、納期、保有設備、資格、継続率などの具体的な情報が判断材料になります。テンプレートに枠がない場合は、自社で追加した方がよい部分です。
FAQと料金は15件すべてで確認できませんでした。BtoBでは個別見積もりが多いため、金額を一律に載せない判断もあります。ただし「何で金額が変わるのか」「最小ロット」「対応地域」「見積もりまでの日数」まで伏せる必要はありません。価格そのものを出せない場合でも、見積もり条件や進め方は掲載できます。
産業系はサービスと実績を組み立てやすい
産業カテゴリでは、5件すべてにサービス紹介と問い合わせ導線があり、4件に実績・プロジェクトの項目がありました。扱う業務を並べ、過去の仕事を見せて相談へつなぐという流れは作りやすい構成です。
製造業で使うなら、テンプレートの「サービス」を製品群や加工技術へ置き換え、「プロジェクト」を導入事例、加工事例、開発実績として使えます。写真を入れ替えるだけではなく、対応素材、寸法、ロット、精度、納期、保有設備、品質管理体制まで整理すると、営業担当者が説明に使えるサイトになります。
注意したいのは、産業カテゴリが日本の製造業専用ではない点です。英語由来の構成や建設・住宅向けの表現も含まれます。JIS・ISOなどの認証、工場所在地、検査体制、図面や秘密保持契約の扱いは、自社の取引実務に合わせて追加が必要です。
建築・建設は施工実績と信頼情報が強い
建築・建設では、5件すべてに実績・プロジェクト、問い合わせ導線、会社・信頼情報がありました。完成物の写真と会社の歩みを組み合わせやすく、建設会社、工務店、設備工事会社のコーポレートサイトにはなじみやすい傾向です。
ただし、施工写真がきれいでも、発注判断に必要な条件が足りるとは限りません。対応工事、施工エリア、元請・下請への対応、許可番号、有資格者、施工体制、安全管理、アフター対応まで確認できるようにした方が、問い合わせ前の不安を減らせます。
「施工実績」は、写真だけで終わらせず、工事種別、規模、地域、工期、担当範囲、解決した課題を同じ書式で掲載すると比較しやすくなります。案件名を公開できない場合は、業種や規模を匿名化して紹介する方法もあります。
IT系はブログと採用に強いが、導入実績を補いたい
IT企業向けでは、ブログ・ニュースが5件中4件、採用導線が3件にありました。新しい技術やサービスの情報を継続的に発信し、採用にもつなげたい企業には使いやすい構成です。
その反面、実績・プロジェクトを確認できたのは1件、会社・信頼情報も1件でした。先進的なデザインや抽象的なコピーだけでは、サービスの対象企業、導入期間、既存システムとの連携、支援範囲が伝わりにくくなります。
IT企業では、機能一覧よりも「誰の、どの業務が、どう変わるか」を具体化することが大切です。導入事例、画面例、支援工程、セキュリティ、運用保守、SLA、料金の考え方を補い、資料請求や相談の前に検討材料を渡せる状態にしておきましょう。
表の数字は、優劣ではなく追加作業の量として読む
今回の集計で件数が多い項目は、テンプレートを選んだ直後から枠を流用しやすい項目です。件数が少ない項目は、その業種に不要という意味ではなく、自社でページやセクションを追加する可能性が高い項目です。
たとえば、建築・建設は実績の見せ方を作りやすい一方、FAQや料金条件は別途設計が必要です。IT企業はブログを始めやすい一方、導入事例や会社情報を増やす作業が残ります。産業系はサービスを並べやすいものの、設備・品質・仕様など技術情報の設計が必要です。
中小企業基盤整備機構のJ-Net21でも、CMSを使えば社内で情報発信や更新を完結しやすくなる一方、問い合わせまでの導線を整えることが重要とされています。テンプレートを選ぶ際は、公開時の完成度だけでなく、公開後に誰が更新するかまで考えておく必要があります。
業種別の選び方を整理
業種 | 優先したい構成 | 追加しやすい情報 | 公開前に確認したい不足 |
|---|---|---|---|
製造業・産業 | 製品・技術、実績、問い合わせ | 設備、対応素材、ロット、品質 | 認証、検査体制、仕様資料 |
建築・建設 | 施工実績、会社情報、相談導線 | 工事種別、工期、対応地域 | 許可、有資格者、安全管理 |
IT・SaaS | 課題別サービス、事例、資料請求 | 画面例、導入工程、ブログ | 料金、セキュリティ、保守 |
テンプレートを比較する際は、色や写真より先に、必要なページが揃うかを確認します。トップ、サービス、実績、会社概要、問い合わせの5ページを基本にし、業種に応じて技術情報、施工事例、資料ダウンロード、採用、ブログを足していくと整理しやすくなります。
予約を受け付ける業種であれば、予約型ビジネス向けWixテンプレートの調査も判断材料になります。BtoBサイトでは予約機能を入れるかどうかより、初回相談、現地調査、デモ、見積もりなど、次の行動を何にするかを先に決めることが大切です。
Wixのテンプレートが向く企業、向かない企業
標準的な企業サイトを早く公開し、社内で文章や実績を更新したい企業には、Wixのテンプレートは有力な選択肢です。5〜10ページ程度から始め、サービスや実績を少しずつ増やす運用とも相性があります。
一方、製品や事例が数百件あり複雑な絞り込みが必要な場合、複数言語・複数拠点を厳格に管理する場合、会員ごとに情報を出し分ける場合は、テンプレート選びだけでは解決しません。CMS設計、権限、検索、データ連携まで含めて要件を整理した方がよいでしょう。
また、独自性を強く求める企業は、テンプレートの写真と色だけを替えるのではなく、情報設計から見直す必要があります。J-Net21の制作会社選定に関する解説でも、目的、ターゲット、掲載内容、ページ数、問い合わせフォームの有無などを先に整理することが勧められています。
公開前に確認したい8項目
最初の画面で「誰の、どんな課題を解決する会社か」が分かるか
サービス名だけでなく、対象、範囲、進め方が書かれているか
実績に業種、規模、課題、成果などの判断材料があるか
会社概要、所在地、代表、許認可、資格などの信頼情報があるか
料金を出せない場合も、見積もり条件と流れを示しているか
問い合わせ、電話、資料請求などの次の行動が迷わず分かるか
スマートフォンでも表やボタンが読みやすいか
公開後の更新担当者と更新頻度が決まっているか
この8項目に不足が多い場合は、別のテンプレートを探すより、必要なページ構成を先に作った方が選びやすくなります。
まとめ
今回確認した15件では、問い合わせ導線、サービス紹介、実績の枠は比較的多く用意されていました。一方、数字での裏付け、お客様の声、FAQ、料金条件は不足しやすい項目です。
製造業・産業は技術と設備、建築・建設は施工条件と許認可、IT企業は導入事例とセキュリティを補うと、テンプレートをBtoB向けに使いやすくできます。デザインの好みだけで決めず、営業担当者が説明に使える情報が揃うかという視点で選ぶことをおすすめします。
※本記事は、2026年8月29日時点で確認できた公開情報をもとに作成した独自調査です。テンプレートの掲載数、構成、機能、料金、提供条件は変更される場合があります。特定のテンプレートやサービスの利用を保証・推奨するものではありません。導入時はWix公式の最新情報を確認し、自社の目的、運用体制、法令・業界ルールに照らして判断してください。




