WixとWordPressはどちらが速い?約123万ECサイトの公開データで比較

ホームページ制作を検討している方から、「WixとWordPressは、結局どちらが速いのですか」と聞かれることがあります。表示速度は問い合わせや購入前の体験に関わるため、サービス選びで気になるのは当然です。
ただ、1つのサイトを測っただけでは公平な比較になりません。画像の量、ページの長さ、サーバー、テーマ、追加機能によって結果が変わるからです。そこで今回は、2026年9月14日時点で公開されているWeb Almanac 2025の大規模データを使い、WixとWordPressを比較しました。
全体のモバイル比較に加え、業種条件を近づけるため、ECサイトに限定したWix eCommerceとWooCommerceの数字も確認しています。EC分野のモバイル対象は合計約123万サイトです。先に要点を言うと、公開データではWixの方が速いサイトの割合は高いものの、WordPressでも制作と運用次第で十分に改善できます。
数字だけを見ると、Wixが優勢
まず、CMS全体のモバイルデータを比べます。Web Almanac 2025では、実際のChrome利用者の体験を集計したChrome UX Report(CrUX)を使い、LCP・INP・CLSの3指標を確認しています。
CMS | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
Wix | 374,543 | 81% | 88% | 95% | 74% |
WordPress | 4,840,897 | 53% | 87% | 84% | 45% |
差(Wix-WordPress) | ― | +28pt | +1pt | +11pt | +29pt |
3指標すべてが良好だった割合は、Wixが74%、WordPressが45%で、29ポイントの差がありました。クリックやタップへの反応を見るINPはほぼ同じですが、主な内容が表示される速さを示すLCPと、読み込み中のずれを示すCLSでWixが上回っています。
この数字は、Wixを選べば必ず速くなる、WordPressなら遅くなる、という意味ではありません。まずは大規模な公開サイト全体で、どのような傾向が出ているかを見るための数字です。
同じECサイトに絞っても差は残った
全体比較では、WixとWordPressに含まれるサイトの業種や規模が違います。そこで条件を少し近づけるため、商品販売機能を使うECサイトだけを比べました。Wix eCommerceと、WordPress上で動くWooCommerceのモバイル結果です。
ECプラットフォーム | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
Wix eCommerce | 234,055 | 76% | 85% | 95% | 66% |
WooCommerce | 995,782 | 39% | 88% | 85% | 35% |
差(Wix-WooCommerce) | ― | +37pt | -3pt | +10pt | +31pt |
3指標すべてが良好だった割合は、Wix eCommerceが66%、WooCommerceが35%でした。ECサイトは商品画像、決済、在庫、計測タグ、レビューなどの機能が増えやすく、一般的な案内サイトより重くなりやすい分野です。その中でもWix eCommerceは、LCPとCLSで高い良好率を保っています。
一方、INPはWooCommerceが3ポイント上です。つまり、すべての指標でWixが勝っているわけではありません。どの体験を重視するかまで見て、数字を読む必要があります。
PCより、スマートフォンで差が見えやすい
ECサイトのデスクトップ結果も確認すると、Wix eCommerceの総合良好率は70%、WooCommerceは33%でした。
端末・プラットフォーム | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
PC・Wix eCommerce | 55,706 | 77% | 99% | 91% | 70% |
PC・WooCommerce | 394,462 | 45% | 99% | 68% | 33% |
モバイル・Wix eCommerce | 234,055 | 76% | 85% | 95% | 66% |
モバイル・WooCommerce | 995,782 | 39% | 88% | 85% | 35% |
PCでは回線や端末性能に余裕があるため、事務所のパソコンで問題なく見えても、スマートフォンでは重さが目立つことがあります。特に広告、SNS、Googleマップから来る見込み客はスマートフォンを使う場面が多く、制作時の確認はモバイルを先に見る方が実務的です。
トップページだけでなく、商品・サービスの詳細ページ、料金ページ、問い合わせや購入の直前ページも測りましょう。入口が速くても、最後のページが重ければ離脱につながります。
一回のテストでも、Wixの中央値が高い
Web Almanacは、実利用データとは別にLighthouseによる統一条件のテストも行っています。ECサイトのPerformanceスコア中央値は次のとおりでした。
プラットフォーム | PC中央値 | モバイル中央値 | モバイルとの差 |
Wix eCommerce | 88 | 64 | -24 |
WooCommerce | 61 | 38 | -23 |
Wix eCommerceはPC88、モバイル64で、WooCommerceのPC61、モバイル38を上回りました。ただし、Lighthouseは測定時点のテスト結果であり、実際の利用者が体験したCrUXとは役割が違います。
自社サイトを確認するときは、PageSpeed Insightsでフィールドデータとラボデータの両方を見ます。公開直後やアクセスが少ないサイトはフィールドデータが表示されないことがあるため、その場合はラボ結果と実機確認を組み合わせてください。
なぜWixの方が速いサイトが多いのか
公開データから考えられる大きな違いは、サービス側が管理できる範囲です。Wixはホスティング、配信基盤、画像処理、編集機能をまとめて提供します。全体へ共通の改善を反映しやすく、利用者がサーバー設定を細かく調整しなくても一定の性能を保ちやすい仕組みです。
WordPressは、サーバー、テーマ、プラグイン、画像最適化、キャッシュなどを自由に組み合わせられます。自由度が高い反面、選び方や更新状況による差も大きくなります。Web Almanacも、WordPressの性能差は本体だけでなく設定や使用ツールの影響が大きいと説明しています。
中小企業のホームページでは、作った後に誰が管理するかが重要です。専門担当者がいない場合、自由度が高いことがそのままメリットになるとは限りません。不要な機能を増やさず、安定して更新できる仕組みの方が、長期的には速さを保ちやすい場合があります。
WordPressが遅いと決まったわけではない
WordPressの良好率が低い背景には、世界中の多様なサイトが含まれていることがあります。古いテーマを長期間使うサイト、安価な共有サーバー、大量のプラグインを追加したサイトも同じWordPressとして集計されます。
反対に、性能のよいサーバーを選び、軽量テーマを使い、画像を圧縮し、不要なプラグインや外部タグを減らせば、高速なWordPressサイトを作れます。細かな技術調整を行える制作会社や社内担当者がいる場合は、自由度を生かせます。
今回の結果は、WordPressで速いサイトを作れないという証明ではなく、初期設定や運用を含む現実のサイト群では、性能のばらつきが大きいことを示すものです。
WixとWordPress、どちらが自社に合うか
速度だけで決めるのではなく、公開後の更新体制と必要な機能を合わせて考えます。
判断材料 | Wixが合いやすい | WordPressが合いやすい |
更新担当 | 専門知識のない社内担当者 | Web担当者・制作会社が継続管理 |
保守 | サーバーや基盤をまとめて任せたい | 環境を自社で選び管理したい |
カスタマイズ | 標準機能中心で早く運用したい | 独自仕様を細かく実装したい |
速度管理 | 仕組み側の最適化を活用したい | 個別に調整し最高性能を狙いたい |
予算の考え方 | 月額と制作費を把握しやすくしたい | 保守・改修費を含め個別設計したい |
更新を自社で行い、問い合わせ獲得に必要な機能を無理なく運用したいなら、Wixは有力な選択肢です。一方、独自の会員機能、大規模なコンテンツ運用、複雑な外部システム連携などが必要なら、WordPressの自由度が生きることがあります。
どちらを選ぶ場合も、不要な動画やアニメーションを増やさず、画像の容量を抑え、追加機能を定期的に整理することが大切です。CMS名よりも、公開後に改善を続けられる体制が最終的な速度を左右します。
制作会社へ確認したい5つのこと
見積もりを比べるときは、「速いサイトにしてください」だけで終わらせず、次の点を確認すると判断しやすくなります。
・公開前にモバイルのPageSpeed Insightsを確認するか
・トップページ以外の主要ページも測るか
・大きな画像や動画をどのように軽量化するか
・公開後に追加アプリやプラグインを見直す仕組みがあるか
・実利用データがたまった後、Core Web Vitalsを再確認するか
点数だけでなく、店名やサービス内容がすぐ見えるか、ボタンが押しやすいか、入力フォームまで迷わず進めるかも確認します。数値と見込み客の使いやすさを一緒に見ることが、問い合わせにつながるサイトづくりには欠かせません。
比較データを読むときの注意点
今回のWeb Almanac 2025は、2025年7月のHTTP Archive調査とCrUXの実利用データを中心にした世界規模の集計です。日本国内だけのWix・WordPress速度比較に使える公的統計は確認できませんでした。日本の中小企業サイトにそのまま当てはまるとは限りません。
また、CrUXには一定の閲覧データがあるサイトだけが含まれます。CMSやEC機能の判定にはWappalyzerが使われ、判定できないサイトや誤判定が含まれる可能性があります。WixとWordPress、Wix eCommerceとWooCommerceでは対象件数も異なります。
ECサイトという業種条件は合わせていますが、売上規模、商品数、画像数、導入機能まで一対一でそろえた比較ではありません。公開データはサービス選びの方向性を考える材料に使い、最終判断では自社に近い制作事例と、実際のページ測定を確認してください。
まとめ
Web Almanac 2025のモバイルデータでは、Core Web Vitalsの3指標すべてが良好だった割合はWixが74%、WordPressが45%でした。同じEC分野に絞っても、Wix eCommerceは66%、WooCommerceは35%で、公開データではWixが上回っています。
ただし、WordPressは構成の自由度が高く、適切なサーバーやテーマ、保守体制があれば改善できます。Wixは専門知識が少ない状態でも性能を保ちやすく、WordPressは管理できる人がいるほど自由度を生かしやすい、と考えると選びやすくなります。
Wixの実利用データをもう少し詳しく確認したい方は、37万サイトのCore Web Vitalsを検証した記事もあわせてご覧ください。
※本記事は、2025年版Web Almanac、Chrome UX Report、Googleおよび各サービスの公開情報をもとに作成しています。数値は対象期間・対象サイト・測定方法により変わります。日本国内限定、同一企業規模、同一ページ構成の比較ではなく、特定サイトの性能や検索順位、売上を保証するものではありません。実際の選定・改善では、自社サイトの計測結果と運用体制をご確認ください。




