WixのCore Web Vitalsは実際どう?37万サイトの公開データで検証
更新日:10月5日

Wixでホームページを作ろうと考えたとき、「見た目は整えやすそうだけれど、表示速度は大丈夫か」と気になる方は多いと思います。検索結果や広告から初めて訪れた人にとって、ページがすぐ開くこと、ボタンを押して反応すること、表示中にレイアウトがずれないことは、問い合わせ前の大切な体験です。
今回は、世界中のウェブサイトを継続的に調べているWeb Almanac 2025の公開データから、WixサイトのCore Web Vitalsを確認しました。2025年のモバイル集計では、対象となったWixの37万4,543サイトのうち74%が、LCP・INP・CLSの3指標すべてで「良好」でした。2023年の40%から大きく改善しています。
ただし、この数字は日本のWixサイトだけを調べたものではなく、一定の閲覧データがある世界のサイトを対象にした集計です。自社サイトの合否をそのまま示す数字でもありません。この記事では、公開データを「Wixを選んでよいか」「今のサイトで何を直すべきか」を考える材料として、分かりやすく整理します。
Wixは「遅い」と言い切れるのか
公開データを見る限り、Wixだから一律に遅いとは言えません。2025年のモバイルでは74%、デスクトップでは76%のWixサイトが3指標すべてに合格しています。CMS別の比較でも、Wixは主要なサービスの中で上位に入ります。
一方で、合格率が100%ではないことも重要です。同じWixを使っていても、ファーストビューの大きな画像、動画、アニメーション、外部予約ツール、計測タグ、追加アプリなどによって体感速度は変わります。プラットフォームを選べば自動的に速くなるのではなく、制作と運用の内容まで含めて結果が決まります。
前回のWixサイト100件の表示速度を実測した記事では、日本語で公開されているサイトをPageSpeed Insightsのテスト環境で測りました。今回は実際のChrome利用者のデータを集計したCrUXが土台です。測り方が違うため、2つを合わせて見ると、テスト環境と実際の利用状況の両面から判断できます。
公開データでは、モバイルの74%が3指標に合格
Web Almanac 2025のCMS章では、HTTP Archiveが収集したCMS判定とChrome UX Report(CrUX)の実利用データを組み合わせています。Wixの2025年集計は次のとおりです。
端末 | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
モバイル | 374,543 | 81% | 88% | 95% | 74% |
デスクトップ | 87,341 | 82% | 99% | 92% | 76% |
表の「3指標すべて良好」は、LCP・INP・CLSのどれか1つだけではなく、3つを同時に満たした割合です。たとえばモバイルではCLSが95%でも、総合の合格率は74%です。最も弱い指標や、複数の小さな未達が全体の合格率を下げます。
WixのモバイルではLCPの良好率81%が3指標の中で最も低く、最初に確認したい項目です。トップページの最上部に重い写真や動画を置いている場合、見た目を大きく変える前に、画像形式やサイズ、読み込み方を見直す余地があります。
3つの指標は、訪問者のどんな不満を見るのか
Core Web Vitalsは、Googleが実際の利用体験を確認するために用いている3つの指標です。名称だけでは分かりにくいので、訪問者の感覚に置き換えると次のようになります。
指標 | 良好の目安 | 見ている体験 | 起こりやすい不満 |
LCP | 2.5秒以内 | 主な内容が表示される速さ | ページがなかなか開かない |
INP | 200ミリ秒以内 | クリックやタップへの反応 | ボタンを押しても反応しない |
CLS | 0.1以下 | 表示中のレイアウトの安定 | 文字やボタンが急にずれる |
数値は、速い回線と新しい端末だけで試した一回の結果ではありません。CrUXは、データ共有に同意したChrome利用者の実測値をもとにし、PageSpeed Insightsでは直近28日間の傾向として表示されます。日による小さな上下よりも、継続して「良好」に入っているかを見るのが基本です。
3年間で40%から74%へ改善
Wixのモバイル合格率は、2023年の40%、2024年の57%、2025年の74%と上がっています。対象サイト数は毎年36万〜38万件台で、少数の事例だけを見た結果ではありません。
年 | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
2023 | 366,400 | 56% | 50% | 94% | 40% |
2024 | 387,281 | 68% | 85% | 87% | 57% |
2025 | 374,543 | 81% | 88% | 95% | 74% |
特にLCPは56%から81%、INPは50%から88%まで改善しました。この推移からは、Wix側の基盤改善やサイト制作のノウハウが進んだことがうかがえます。ただし、年ごとにCrUXへ含まれるサイトは完全に同一ではなく、指標や測定環境も更新されます。74%という数字だけで将来の性能を保証するものではなく、改善傾向をつかむデータとして読むのが適切です。
ほかのCMSと比べると、Wixは中上位
2025年のモバイルデータで、利用例の多いCMS・サイト作成サービスを比べました。対象サイト数が大きく異なるため単純な優劣表ではありませんが、サービス選定時の目安にはなります。
CMS・サービス | 対象サイト数 | LCP良好 | INP良好 | CLS良好 | 3指標すべて良好 |
Duda | 81,810 | 94% | 94% | 93% | 85% |
Shopify | 562,010 | 87% | 90% | 92% | 77% |
Wix | 374,543 | 81% | 88% | 95% | 74% |
Squarespace | 209,442 | 76% | 96% | 89% | 69% |
Webflow | 96,903 | 72% | 86% | 93% | 65% |
WordPress | 4,840,897 | 53% | 87% | 84% | 45% |
Wixの総合74%は、今回並べた6サービス中3番目でした。CLSは95%で最も高く、表示中のずれに強い一方、LCPはDudaやShopifyより低い結果です。つまりWixを選ぶ際は、「表示が崩れにくい」という利点を見つつ、最初に表示される画像やコンテンツの重さを丁寧に設計することが重要です。
また、WordPressはテーマ、サーバー、プラグインの組み合わせが非常に多く、Wixとは運用条件が違います。合格率だけでCMSを決めるのではなく、更新を誰が行うか、必要な機能を標準で用意できるか、保守にどこまで時間をかけられるかも一緒に比較してください。
74%でも、自社サイトが速いとは限らない
この集計には、CrUXで十分な閲覧データを持つサイトだけが含まれます。公開直後のサイトやアクセスの少ないサイトは、PageSpeed Insightsを開いても「実際のユーザー環境で評価する」にデータが表示されないことがあります。その場合、合格か不合格かを判断できないだけで、直ちに問題があるわけではありません。
さらに、集計対象は世界のサイトであり、日本国内限定ではありません。日本のWixサイトだけを同じ条件で比較できる公的統計は確認できませんでした。CMSの判定にはWappalyzerが使われるため、技術的に判別できなかったサイトや誤判定が含まれる可能性もあります。
自社サイトを見るときは、全体の74%よりも、PageSpeed Insightsに表示される自社URLのフィールドデータを優先します。URL単位のデータが不足すると、同じドメイン全体のデータへ切り替わる場合があるため、画面上の「このURL」か「オリジン」かも確認しましょう。
まず確認したい3つの場所
改善は、点数を上げる作業から始めるより、見込み客が最初に触れる場所から進める方が実務的です。特にスマートフォンでトップページ、サービスページ、問い合わせページの3つを確認します。
症状 | 最初に見る場所 | よくある原因 | 判断のポイント |
表示が遅い | ページ最上部 | 大きな画像・動画・独自フォント | 店名やサービス内容が早く見えるか |
操作が重い | 予約・問い合わせボタン | 外部ツール・計測タグ・追加アプリ | 1回のタップで反応するか |
画面がずれる | 画像・地図・埋め込み | 表示領域の未指定・後読み込み | 誤タップが起きないか |
LCPが悪いからといって、画像をすべて削除する必要はありません。ファーストビューの画像を適切な大きさにする、不要なスライダーを減らす、動画を自動再生しないといった順で、伝わり方を保ちながら軽くします。INPが悪い場合は追加アプリや外部スクリプト、CLSが悪い場合は画像や埋め込みの表示領域を重点的に見直します。
制作会社へ依頼するときは、点数より目的を伝える
制作会社へ「100点にしてください」と依頼すると、必要な写真や計測機能まで削る話になりがちです。まず、「スマートフォンでサービス内容がすぐ分かる」「予約ボタンが迷わず押せる」「広告流入用ページの離脱を減らしたい」など、守りたい体験を伝えてください。
そのうえで、公開前のLighthouseテストだけでなく、公開後にCrUXのフィールドデータを確認する運用を依頼します。アクセスが少なくCrUXが出ない期間は、PageSpeed Insightsのラボデータと実機確認を併用し、問い合わせ導線に影響する問題から直すのが現実的です。
数値の確認日、対象URL、モバイルかデスクトップかを記録しておくと、画像追加やアプリ導入の前後を比較できます。毎週の点数に一喜一憂するのではなく、月単位で傾向を見ると、運用の判断材料になります。
Wixを選ぶときは、速さ以外も合わせて判断する
公開データからは、WixのCore Web Vitalsが主要CMSと比べて大きく劣るとは言えません。自社で更新しやすいこと、サーバーやセキュリティ管理をまとめて任せられること、予約・フォームなど必要な機能を実装しやすいことに価値を感じるなら、十分に候補になります。
一方で、特殊な機能を多数追加する、重い演出を多用する、細かなコード最適化を常に行いたい場合は、制作方法や運用体制まで含めて比較が必要です。大切なのは、CMS名だけで決めず、見込み客が使う端末、必要な機能、更新担当者、公開後の改善方法まで確認することです。
WixとWordPressの数値を同じ公開データで比較したい場合は、WixとWordPressの表示速度を比較した記事も参考になります。
まとめ
Web Almanac 2025では、Wixのモバイル対象37万4,543サイトの74%がCore Web Vitalsの3指標すべてで良好でした。2023年の40%から改善し、主要サービスとの比較でも中上位です。Wixを使うだけで遅くなる、という見方は公開データとは一致しません。
ただし、残る26%は3指標のいずれかを満たしておらず、個別サイトの作り方は結果に影響します。まず自社の主要ページをモバイルで確認し、LCPなら最上部の画像、INPなら外部機能、CLSなら表示中のずれを見る。数字をこの順で具体的な改善へつなげることが、問い合わせ機会を守る近道です。
※本記事は、2025年版Web Almanac、Chrome UX Report、GoogleおよびWixの公開情報をもとに作成しています。数値は対象期間・対象サイト・測定方法により変わります。日本国内限定の統計ではなく、特定サイトの性能や検索順位を保証するものではありません。実際の制作・改善判断では、自社サイトの計測結果と利用者の状況をご確認ください。




