独立後、すぐに軌道に乗せたいと思われる弁護士様も多いと思います。
そこで今日は、弁護士の独立・開業までの流れと、事前準備についてもご紹介させて頂きます。
ー目次ー
1.弁護士の独立・開業で早く軌道に乗せる事前準備とは
弁護士事務所を独立・開業後、なるべく早く目標の売上に届くために、事前にマーケティングプランを練って頂くことをおすすめしています。
マーケティングプランで大事なのは、売りたいサービスまでの設計図を作って頂くことです。
以下の手順を参考にぜひお考え頂けましたら幸いです。
1-1.注力分野・得意分野を決める
まず、先生が注力されたい分野や、得意分野をお決め頂きます。
幅広く対応できるのはどの事務所様も謳っていることです。
それよりは、この業務に詳しいんです!や、この業界・属性の方々のご支援なら実績が多数です!というブランディングで、差別化を図って頂くことをおすすめしています。
1-2.理想のクライアントはどんな人?
次に、先生が一番お客様にしたいと思う理想のクライアント像を考えます。
先生がお客さんになって欲しい方の客層や特徴はどのような方でしょうか?
例えば、企業法務に特化されたいとして、業種や、テーマでさらに絞るとすると、どのような方が得意、又は、注力されたいでしょうか?
業務だけでなく、ターゲットの属性・業種・特徴・テーマで絞って頂くことで、今後展開されるマーケティング活動の反応を得やすくなります。
1-3.フロントエンドサービスとバックエンドサービス
つぎに、先程考えて頂いた理想のクライアントに喜んで頂くために、提供するサービスを検討します。
まず、一番喜んでもらえる主として提供したいサービスを考えます。
これをバックエンドサービスと呼ばせて頂きます。
バックエンドサービスは、売上の柱となるサービスをお選びください。
先程の企業法務の例で言えば、法務顧問、民事再生、法人破産、労働問題対応などがあげられます。
バックエンドサービスを、まだ信頼関係が気づけていない方に売るのは非常に難しいため、信頼関係を構築するための、サービスを用意頂きます。
これを、フロントエンドサービスと呼びます。
フロントエンドサービスは、有料でも、無料でも構いません。
なるべくハードルを下げ、まずは小さなお取引をして頂くためのサービスです。
無料相談はよく使われるフロントエンドサービスの一つです。
その他、セミナー、スポットコンサルなど、ターゲットに合わせてご準備ください。
例えば弁護士様の場合であれば、初回限定で安価な料金で契約書のチェックを受けるなども、良いフロントエンドサービスになるかと思います。
1-4.見込み客を作るリードマグネットの用意
先程紹介したフロントエンドサービスは、今すぐ悩みを解決したい「今すぐ客」に有効です。
しかし、今すぐ客は市場の1%程度と言われており、そこに多くの競合事務所が殺到しています。
そこで、その手前の「そのうち客」から見込み客になってもらうための、リードマグネットのご用意をおすすめしています。
そのうち客は、いますぐ客と比べて競合が少ないだけでなく、市場のパイが大きいというのが特徴です。
一方、いますぐ客と比べると案件化まで時間も手間もかかります。
具体的には、見込み客獲得から情報提供、顧客教育、商談促進、クロージングと、長いスパンでのマーケテイングが必要となります。
リードマグネットの例としては、レポート、チェックリスト、セミナー動画などがあります。
リードマグネットは、今すぐ客にも反応してもらうことができます。
そのため、いますぐ集客を現在している方にも相乗効果があります。
用意して頂いて損はありませんので、ぜひ、ご準備ください。
1-5.売るための台本(=文章)を作る
あとは、どうやってリードマグネット、フロントエンドサービス、バックエンドサービスの数を増やしていくかです。
新規との接点である、リードマグネットとフロントエンドサービスをいかに、いかにたくさん申込んで頂くかが、バックエンドサービスの最大化につながります。
そこで大切なのが、リードマグネットとフロントエンドサービスを売るための台本(=文章)です。
この文章は、直接会った見込み客にクロージングするセールストークにもなりますし、ホームページで公開すればセールスページにもなります。
1-6.開業前に可能な限りの見込み客開拓活動をスタート
売るための台本(=文章)さえできあがれば、あとはどれだけ多くの人に伝えるかがポイントになります。
開業前の準備として、なるべく多くの見込み客候補の方に伝えましょう。
独立の報告としてあった際に直接伝えるのも良いですし、紹介資料を作ってメールで送付するのも良いでしょう。
もし勤務先が許すなら、先にホームページに公開して、より多くのアクセス獲得に着手するのも良いでしょう。
早い方であれば、開業する前から、見込み客や契約を獲得することができます。
2.弁護士の登録から開業までの流れ
今度は、弁護士として登録から開業するまでの具体的な流れについて見ていきたいと思います。
2-1.どこで開業するかを決める
まずは開業場所を決めなければなりません。
開業場所を決める際には、以下の視点で見ておかれると、開業後、お客さんにもメンバーにも困らなくなります。
①ターゲットが多くいそうか?
②従業員は集まりやすそうか?
③集客面、採用面で強い競合はいるか?
ターゲットによって、立地がどの程度重視されるかは異なります。
客層によってはオンライン対応で完結しますので、立地はご自身や家族が快適に生活できるところをお選び頂くのも良いかもしれません。
ただ、住所は弁護士会のホームページで公開されるため、自宅住所が公開されるのが嫌な方は、シェアオフィス、賃貸オフィスなど、別の場所も検討しましょう。
2-2.弁護士事務所名を決める
事務所名は後で変更すると面倒なことになるため、慎重に決めましょう。
もし、得意とする分野や理想のクライアント像が定まっている場合は、それに準じて事務所名を決めるのがおすすめです。
しかし、まだ定まっていない場合は、後で変更する必要が無いように、とりあえずご自身のお名前を元にした事務所名が無難かもしれません。
ホームページには、好きな屋号を付けて集客することができるため、そこまで事務所名にこだわる必要もありません。
事務所名については、付け方に一定のガイドラインがあるため、お気を付けください。
例えば、「弁護士」と入れることや、「近隣に同一の名前がある場合はさけること」などです。
詳しくは、弁護士会のホームページや問合せ窓口にてご確認ください。
2-3.弁護士会への連絡
事務所名や住所が決まったら、弁護士会に連絡する必要があります。
該当の弁護士会のホームページや問合せ窓口を参考に、必要な手続きを確認して進めていきましょう。
2-4.開業届の提出
開業後1ヶ月がたつまでに、地域の税務署に開業届を出す必要があります。
つい忘れてしまいがちな届け出でもありますのでご注意ください。
3.開業資金はいくら準備するべき?
事務所をスタートして軌道に乗るまで、資金が必要です。
これが、いわゆる開業資金です。
では、開業資金はどのくらい準備すべきなのかについてご紹介させて頂きます。
一つの考え方としてご参考頂けましたら幸いです。
3-1.いくら毎月必要なのか?
毎月必要な事業の経費をご確認ください。
そして、生活費が毎月どのくらい必要かも出してみてください。
毎月事業に必要な経費と、毎月必要な生活費の合計額が、毎月必要な金額となります。
3-2.できれば半年~1年分の用意が安心
毎月必要な金額の6ヶ月分~12か月分を目安にご用意頂くことをおすすめしています。
もちろん、6ヶ月~12ヶ月の間、新規売上がゼロというわけではありませんが、思いもよらない出費も想定し、多めにご用意頂くと安心かと思います。
3-3.必要があれば創業融資のご検討も
金融機関全般で見れば、創業者は融資を受けにくい立場です。
まだ、事業の実績が無く、返済が滞りなく行われるか予想しにくいからです。
しかし、半官半民の日本政策金融公庫では、創業者にも積極的に融資してくれますので、ぜひ活用をご検討ください。
また、地元の中小零細企業に積極的に融資をしている信用金庫も、日本政策金融公庫ほどではありませんが、創業者にも融資してくれる可能性があります。
(メガバンク、地銀は厳しいのが実際ですので候補から外すのがおすすめです)
無事に軌道に乗るまで、なにがあるかわかりません。
創業融資は、申請者のご経歴と、未来の計画に対して融資をしてくれる数少ない融資です。
借りられるときに、できるだけ借りておくというのも、一つの手としてぜひご検討ください。
また、企業法務に取り組まれる先生にとっては、顧問先に紹介する金融機関の開拓にもなります。
ぜひ、創業融資もご検討ください。
まとめ
弁護士の独立、開業について、おおまかな流れと、事前にできる準備、そして、開業資金についてご紹介させて頂きました。
一つの考え方として、ぜひご参考頂けましたら幸いです。
競合の多い弁護士業界ですが、マーケテイングプランがあれば、理想の売上までなるべく早く到達することができます。
また、まんが一のために、できるだけ時間を稼ぐためにも、創業融資のご検討も同時に行って頂けましたら幸いです。
今日の内容が少しでもお役に立てましたら幸いです。
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